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先日、あまりにも酷過ぎる児童虐待の事件が報道された。

覚醒剤・売春強要、少女保護の児相は虐待見逃す (2011年9月21日  読売新聞)

覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された札幌市の無職少女(16)が、実母から売春や覚醒剤の使用を強要されていた事件で、児童相談所が3年前に少女を保護しながら、虐待を把握できていなかったことが20日、わかった。

少女は実母に言われて小学6年の時から売春を始め、中学校にほとんど通っていないが、虐待と認識していなかった。深刻な家庭環境の中で続いていた虐待は見逃されており、教育委員会や学校側の対応にも課題を投げかけている。

 北海道警によると、40歳代の実母は覚醒剤の乱用者。少女は小学6年の時から、実母が使用する覚醒剤の費用を稼ぐため、売春を強要されていた。3年前に実母が覚醒剤使用で逮捕され、少女は1年以上、児童自立支援施設で暮らした。その後、実母、少女とも同居を望んだことから再び一緒に住み始めたとみられる。児相の職員は「性的虐待を把握していれば、同居はさせなかったはず」と話しており、当時、少女の売春は把握していなかった。

 今年5月に実母から「気分が悪いときに使うとすっきりする」と勧められ覚醒剤を始めた。児童自立支援施設では、薬物乱用防止教室もあり、少女は「覚醒剤の恐ろしさを学んだつもりだったが、母の勧めに逆らえなかった」と話しているという。

 少女は母親の再婚相手に覚醒剤を注射されたり、少女にわいせつ行為をしたとして20日に道青少年健全育成条例違反容疑で逮捕された元暴力団員山本憲彦容疑者(36)の元へ、覚醒剤を買いに行かされたりしていたという。
(引用ここまで)

児童虐待といい、いじめといい、事件が発覚するといつも出てくるのが、「気付かなかった、把握していなかった」という言葉であるが、これには本当に怒りをおぼえる。
関係する大人たちには責任がありそれではすまされないのだ。

記事には、児童相談所の職員の話として「性的虐待を把握していれば、同居はさせなかったはず」とあるが、まず、この児童相談所の判断に大きな疑問が残る。

そもそも、3年前に少女を保護した理由が実母の覚醒剤使用の逮捕である。
いくら母親と少女が同居を望んだからといって、覚醒剤の乱用者とわかっている実母との同居をさせるだろうか?
親権を理由にするのならば、このような家庭状況であることを考慮すると、この家庭にはどんな細かな変化でも見逃さないくらいの注意が必要だったはずだ。

実際に児童相談所の判断が誤りであったことが、別の記事でわかる。

売春強要された少女、母と同居再開後は登校ゼロ (2011年9月22  読売新聞)

(引用ここから)
少女は児童自立支援施設を出て再び母親と同居し始めた今年2月から中学を卒業する3月まで、一度も学校に行っていないことが21日、札幌市教委や児童相談所への取材で分かった。

学校側は家庭訪問をしたが虐待の兆候はつかめず、結局、少女は今年6月頃から母親の勧めで覚醒剤を使用し始めた。

 道警や児相などによると、少女は実母と道南地方で暮らしていたが、3年ほど前に実母が覚醒剤使用で逮捕され、少女は児相に保護された。実母は実刑を免れて執行猶予が付いたが、児相は「同居は時期尚早」と判断、少女を児童自立支援施設で生活させていた。

 今年2月、少女と実母が同居を望んだことから、実母の再婚相手の男(35)(覚醒剤取締法違反の罪で起訴済み)と札幌市のアパートで暮らすようになった。

 児相は少女が児童自立支援施設にいる間、「高校に進学してきちんとした教育を受けた方がいい」と指導。少女は高校見学もしたが、結局、就職して自立することを希望したという。
(引用ここまで)

実母との同居を開始してから、学校への登校が一度もないということは異常事態である。
一度は、「時期尚早」と判断しているが、その後のケアは何もなかったのだろうか?

学校側は、家庭訪問をしたが虐待の兆候はつかめなかったとあるが、義務教育で学校に行かせないこと自体が立派な虐待であろう。
学校や教育委員会は、この少女の家庭環境は把握していたはずなので、おかしいと感じたのならば、なぜ児童相談所や警察と連携をとれなかったのか。

広報パンフレットや厚生労働省からの通達には、ことあるごとに関係機関の連携による早期発見がうたわれている。
これは活字にして見て終わりではない。実行に移さなければ意味がないのだ。

目を覆いたくなるなるような悲惨な現状に子どもたちがさらされているが、児童虐待の問題は学校や児童相談所だけが動けばいいだけの問題ではない。
我々一般の市民も日常の中で、児童虐待が疑われる場合にはそれを通報するなどの行動が求められる。
児童虐待1万件増…近隣住民などの通報増える (2011年7月20日  読売新聞)

また、以前の記事でも取り上げたように、来年の4月より親権停止最長2年を可能とした法律も施行される。

虐待防止へ親権2年停止可能に 民法改正案が成立 (2011年5月27日 朝日新聞)

この記事には、

現行の民法には、20歳未満の子の親権を親から奪う「親権喪失」の制度がある。ただ、期限の定めがないため、虐待被害の対応にあたる児童相談所(児相)などが親子関係の断絶につながりかねないことを懸念して申し立てをためらうケースが多く、虐待防止の有効な手段になっていないと指摘されてきた。

とあるが、この躊躇がどれだけ児童虐待の問題をさらに悪くしているかは、これまでの事件や前述の記事で明らかである。
親子関係の断絶につながりかねないといわれるが、場合によっては、子どもの人生や命そのものが断たれてしまうことがある虐待に有効な手段として活用されることを強く望む。

(文責:新発田)




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産経新聞の記事によると、産業技術総合研究所などが事故と虐待のけがを判別するシステムを開発し実用化を目指しているという。

虐待:事故との判別システム開発 産総研、医師の判断支援(産経新聞 2010年12月26日)

虐待による子どものけがを見過ごし、虐待が繰り返されて重傷化したり、最悪の場合は死亡する事態を防ごうと、事故と虐待のけがを判別するシステムを産業技術総合研究所などが26日までに開発した。実用化に向け、精度向上を進めている。

 不慮の事故でけがをし、国立成育医療研究センターを受診した子どもの情報約1万件をデータベース化。虐待をした保護者は「事故に遭った」と主張することが多いが、蓄積データと照合し、そのけがが事故で生じる確率を示すことで、医師の判断を支援する狙いだ。

 産総研デジタルヒューマン工学研究センターの北村光司研究員によると、データベースには性別や年齢、発達段階、事故やけがの種類、けがの部位、当時の状況などの情報を蓄積。ある子どもがけがで受診した場合、こうした情報を入力するとデータベースと照合し「原因が、不慮の事故である確率」が出る。

 実際に虐待と判断された24件を入力すると、22件は事故の確率は数%~20%程度と低く、虐待の疑いが強いとの結果が出た。ただ50%近くだったケースもあり、精度向上が課題。虐待によるけがの事例も集め、何%なら虐待と判断するかという「基準値」を定めたいとしている。

 医師が虐待を疑った場合、児童相談所へ通告する義務があるが、確証が得られなかったり、親との関係に配慮したりしてためらう場合がある。北村さんは「医師、看護師の経験と勘に依存し、科学的な判断基準がないこともためらう要因だ」と指摘。

 虐待問題に取り組む国立病院機構大阪医療センターの山崎麻美副院長は「親はまず否認し、裁判になっても別の医師を証人に立てて争うことがある。裁判員裁判もあり、誰の目にも分かる基準は必要だ」と話している。
(引用ここまで)

精度向上が課題とされ、何%となら虐待を判断するかという「基準値」を定めたいとしているが、どれだけ精度が上がってもこの「基準値」から漏れてしまう例も必ず出てくるだろう。

しかし、そもそもこの技術がどれほど子どもを虐待から救うことに効果を表すだろうか。
奥田健次先生のブログの『子育て学』を高校の必修科目にせよ。の記事では、虐待の判別や介入ついても取り上げられていた。その中で、
法医学では子どもを救いきれない。子どもの傷の有無で判断するようなやり方はいけない。現場では、「この傷は転んで出来た傷か否か」とか「もう1度、あざを作って来たら通報しよう」などと、真顔で議論されている。自分に言わせれば、何を馬鹿なことを言っているのかと。次の傷が致命傷になったらどうするのか。
だから、子どもの傷の有無で虐待を判定する方法は子どもを救いきれない。


「基準値」から外れてしまった子どもたちもまさに当てはまってしまうのではないだろうか。
奥田先生は、以前からずっと次のようなことを提案されている。
自分が提案し続けている方法は、『家庭環境』と『parenting skill(親業スキル)』を評価・判定する方法だ。アメリカでは、こうした客観的方法が子どもを虐待から救う予防的な方法として取り入れられている。

残念ながらこの提案は学会などでは、反応は悪く黙殺されてしまっているとのことだが、
奥田先生の児童虐待に関する提案は論文にもなっているので、児童虐待の問題に携わる方たちにはぜひご一読願いたい。

奥田健次(2001)子どもへの虐待に対する積極的対応のために-応用行動分析学による支援の可能性-
犯罪心理学研究, 39, 188-191.(日本犯罪心理学会)
文責:新発田

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